第46話 単純明快 | ホークスを世界一に! 孫正義の21世紀革命2005

第46話 単純明快

第46話


単純明快







 23日(火)。降雨で1日延びた首位決戦の初戦。ホークス斉藤、ロッテ渡辺俊の両チーム、エース同士の対決。1対1の同点で迎えた7回、ズレータのバックスクリーンに飛び込む本塁打で勝ち越した。斉藤は8回ノーアウト1、2塁のピンチをしのいだ。9回にも強気のピッチングを崩さず投げぬいた。無傷の14連勝。昨年、16連勝を記録した斉藤だが、同じ投手が14連勝以上を2度記録するのはプロ野球史上初の快挙だ。ロッテとの差は5・5に広がった。「(斉藤は)いい意味での緊張感を保っている」(王監督)。



 

 ポータルサイトの雄、1日のアクセス数が11億と圧倒的な強さを誇るヤフーの井上雅博社長。穏やかな語り口調の中にも、並々ならぬ自信をうかがわせる。広告・オークション事業などすべての部門で大幅黒字。なぜ、そんなにも強いのか。「ブロードバンド市場が、それだけ大きくなってきたということでしょうね」(井上社長)。
 米ヤフーとの合弁で1996年にヤフーは設立された。情報検索サービスの提供としてスタートしたが、日本のユーザーの使い勝手のいいように改良を重ねてきた。視聴率を高める(アクセス数を増やす)には、なるべく多くのメニューをそろえるのが効果的だ。「あったらよいと思うサービスを実現し、嫌だと思うトラブルは極力なくしていく」(井上社長)。次々とコンテンツを増やして、総合ポータルサイトに進化してきたのだ。

 いま、ヤフーは「ライフエンジン」をめざしている。その人、その人のライフサイクルにあったもの、それに応えるものを提供していく。「これからも1ケタ、2ケタと売上げを伸ばしていく」(井上社長)。

 インターネットでできることはすべてやる。「すべての分野で一番になる」というのが井上社長の考え方だ。「そのためにやるべきことをやる」。

 1996年の設立時、小さな環だったヤフーは、増大していき、いまや巨大な環になりつつある。

 ヤフーの井上の理念はシンプルでわかりやすい。



 

 王監督と孫正義も大きなひとつの目標に向かって進んでいる。シンプルである。<めざせ世界一、野球もビジネスも>。 

 雨天で試合が延び、斉藤はスライド登板になった。周囲の心配をはねのけるように斉藤の答えはシンプルだった。「投げろと言われたら、それに従うだけ」。試合後の斉藤は言った。「素直にうれしい。また応援してださい」。斉藤の座右の銘は<感謝>。

 球場に応援に駆けつけた孫は興奮ぎみに言った。「最高でした」。
                 (文中敬称略)